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「環球時報が大谷翔平にクギ付けというのは驚きですね。彼の人気は本当に広がっていますね。これからも彼の活躍が注目されることでしょう」
1 昆虫図鑑 ★ :2024/03/02(土) 16:39:42.37 ID:7b/pK/h4
中国で野球は超マイナースポーツなのに
米MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(29歳)の結婚フィーバーが、ついに中国にまで飛び火した!
中国では、野球のことを「棒球」(バンチウ)と呼ぶが、超マイナーなスポーツである。大都市には野球場など見当たらず、私の知人で、「野球のルールを知っている」という中国人は皆無だ。
そんな中、3月1日、お堅い中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』傘下の国際紙『環球時報』が、大谷選手の記事を掲載したのだ。普段は「日本の福島の『核汚染水』の海洋放出は、絶対に許せない!」などと吠えている新聞だけに、中国ウォッチャーの私もビックリだ。
(略)
『環球時報』に書かれたということは、この記事を習近平主席が読む可能性がある。
「アメリカ人を超えた日本人スター」
冒頭で書いたように、一般の中国人は、野球のルールを知らない。NBA(全米プロバスケットリーグ)は観ていても、MLBの試合を観ているという人は、ほぼ皆無だ。
それでも大谷翔平選手の結婚は、多くの中国人の興味の対象になっているのだ。それは、「ドジャースでプレーする野球選手」というより、「アメリカ人を超えた日本人スター」という目線で見ているからだろう。
ちなみに、「7億ドル契約」が発表された時には、国家体育総局の機関紙『中国体育報』(2023年12月21日付)までもが、長文の記事を掲載した。タイトルは、「大谷翔平が10年で7億ドルの収入――トップスポーツプロはなぜこれほど『高い』?」。以下のような内容だ。
<韓国のサッカー選手・孫興慜(ソン・フンミン)が、週給20万ポンド(約3800万円)というニュースに、まだ人々が羨ましがっているさなか、今年12月初めに、アジアのスポーツ界のトップの座は、日本の野球選手・大谷翔平にすでに持っていかれた。10年で7億ドルの収入というアジアで最も高いスポーツ選手となったからだ。(中略)
最も「高い」スポーツ選手は、自分の価値を高めるため、まずもってファンの多いスポーツでトップ選手とならねばならない。サッカー、バスケット、テニス、野球、ボクシング、陸上競技などで、突出した成績を収めるということだ。(中略)その他にも、個人的なカッコよさを備えていることが必須である。
中国のスポーツ界を暗に批判
大谷翔平がアジアで最も価値の高いスポーツ選手となったのは、偶然の賜物ではない。この点にも、昨今の中国のスポーツ産業の発展にとって、大変多く考えさせられるところがある。
SNSのフォロワーの文化が流入してきている今日、スポーツ選手はスポーツの成績だけが最重要のものと意識すべきなのだろうか? 多くのビジネスブランドがスポーツ選手の身の上に、芸能スターかと見まがうほどの価値と脚光を与えていることにも、意識を向けるべきなのだろうか?>
こうした中国での一連の「大谷報道」を見ていて、気になることが一つある。それは、現在の中国の硬直したスポーツ界に対する「間接的批判」になっているということだ。
日本のスポーツ界を羨む中国
なぜ日本からは、大谷翔平や久保建英や羽生結弦が出るのに、中国からは出ないのか? なぜ日本のスポーツ界は、サッカーもバスケットも頗る進歩していくのに、中国はむしろ「退歩」していくのか? なぜ2月24日の世界卓球団体戦で、「絶対王者」のはずの中国女子が、決勝で日本に追い詰められたのか?(中国は薄氷の勝利を挙げたが、敗者の日本選手たちの方が笑顔だった)
こうしたことに、中国のスポーツ界やファンたちのストレスが溜まっているのだ。
ロシアは国威発揚のため、金メダルを量産しようとして、ドーピングに走った。中国は薬物はやらないが、「新時代の中国の特色ある社会主義思想」の教育を徹底させている。そこには「共同富裕」も含まれているから、高額年俸のスポーツ選手などは、共産党当局の批判の対象となる。清く貧しく美しく、「共産党の栄光」の一部としてあることが、国家代表級のスポーツ選手には求められている。
ともあれ大谷選手が、中国でスポーツの在り方を巡る論争にも飛び火したとしたら、やはり別な意味で「偉大な選手」である。
近藤大介
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79703
米MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(29歳)の結婚フィーバーが、ついに中国にまで飛び火した!
中国では、野球のことを「棒球」(バンチウ)と呼ぶが、超マイナーなスポーツである。大都市には野球場など見当たらず、私の知人で、「野球のルールを知っている」という中国人は皆無だ。
そんな中、3月1日、お堅い中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』傘下の国際紙『環球時報』が、大谷選手の記事を掲載したのだ。普段は「日本の福島の『核汚染水』の海洋放出は、絶対に許せない!」などと吠えている新聞だけに、中国ウォッチャーの私もビックリだ。
(略)
『環球時報』に書かれたということは、この記事を習近平主席が読む可能性がある。
「アメリカ人を超えた日本人スター」
冒頭で書いたように、一般の中国人は、野球のルールを知らない。NBA(全米プロバスケットリーグ)は観ていても、MLBの試合を観ているという人は、ほぼ皆無だ。
それでも大谷翔平選手の結婚は、多くの中国人の興味の対象になっているのだ。それは、「ドジャースでプレーする野球選手」というより、「アメリカ人を超えた日本人スター」という目線で見ているからだろう。
ちなみに、「7億ドル契約」が発表された時には、国家体育総局の機関紙『中国体育報』(2023年12月21日付)までもが、長文の記事を掲載した。タイトルは、「大谷翔平が10年で7億ドルの収入――トップスポーツプロはなぜこれほど『高い』?」。以下のような内容だ。
<韓国のサッカー選手・孫興慜(ソン・フンミン)が、週給20万ポンド(約3800万円)というニュースに、まだ人々が羨ましがっているさなか、今年12月初めに、アジアのスポーツ界のトップの座は、日本の野球選手・大谷翔平にすでに持っていかれた。10年で7億ドルの収入というアジアで最も高いスポーツ選手となったからだ。(中略)
最も「高い」スポーツ選手は、自分の価値を高めるため、まずもってファンの多いスポーツでトップ選手とならねばならない。サッカー、バスケット、テニス、野球、ボクシング、陸上競技などで、突出した成績を収めるということだ。(中略)その他にも、個人的なカッコよさを備えていることが必須である。
中国のスポーツ界を暗に批判
大谷翔平がアジアで最も価値の高いスポーツ選手となったのは、偶然の賜物ではない。この点にも、昨今の中国のスポーツ産業の発展にとって、大変多く考えさせられるところがある。
SNSのフォロワーの文化が流入してきている今日、スポーツ選手はスポーツの成績だけが最重要のものと意識すべきなのだろうか? 多くのビジネスブランドがスポーツ選手の身の上に、芸能スターかと見まがうほどの価値と脚光を与えていることにも、意識を向けるべきなのだろうか?>
こうした中国での一連の「大谷報道」を見ていて、気になることが一つある。それは、現在の中国の硬直したスポーツ界に対する「間接的批判」になっているということだ。
日本のスポーツ界を羨む中国
なぜ日本からは、大谷翔平や久保建英や羽生結弦が出るのに、中国からは出ないのか? なぜ日本のスポーツ界は、サッカーもバスケットも頗る進歩していくのに、中国はむしろ「退歩」していくのか? なぜ2月24日の世界卓球団体戦で、「絶対王者」のはずの中国女子が、決勝で日本に追い詰められたのか?(中国は薄氷の勝利を挙げたが、敗者の日本選手たちの方が笑顔だった)
こうしたことに、中国のスポーツ界やファンたちのストレスが溜まっているのだ。
ロシアは国威発揚のため、金メダルを量産しようとして、ドーピングに走った。中国は薬物はやらないが、「新時代の中国の特色ある社会主義思想」の教育を徹底させている。そこには「共同富裕」も含まれているから、高額年俸のスポーツ選手などは、共産党当局の批判の対象となる。清く貧しく美しく、「共産党の栄光」の一部としてあることが、国家代表級のスポーツ選手には求められている。
ともあれ大谷選手が、中国でスポーツの在り方を巡る論争にも飛び火したとしたら、やはり別な意味で「偉大な選手」である。
近藤大介
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79703